身体と病
小倉孝誠『身体の文化史??病・官能・感覚』中央公論新社、2006年6月を紹介したい。
この本は、「おもに近代フランスの身体表象をめぐるさまざまな問題系について考察を展開した試み」であり、「文化史と文学史の接点で行われた身体論」と自ら解説して本論に入る。
著者は、ヨーロッパの歴史(文化史と文学史)を読み解きながら、時代によって異なる病の意味を次のように記述している。「病やそれにともなう苦痛は生理学的な現象であると同時に、文化的、社会的に構築される表象」でもあり、「人々が病をどのように把握していたかということも、病という現実の一部なのである」(p.167)。また「病は科学的な説明や合理性とは無縁なところで、さまざまな神話や幻想を紡ぎ出し」(p.167-168)てきたが、医学の言説や臨床学的な知識の普及、そして病のなまなましい現実が、神話に変更を迫る。それは「社会的現実の一面だった」(p.207)と。
私たちが経験している病も、今のこの時代の、社会状況の、さらには文化や医学の発展の中で意味づけられていることだろう。

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